Kearneyは毎年、化学品業界におけるグローバルなM&A動向調査を行っている。本年は、パンデミックの影響も考察し、サステイナビリティが主要なドライバーとして機能していることに光を当てている。

こちらはGlobal論考の和訳版です。英文レポートはこちら (https://bit.ly/3w7ahzk)をご参照ください

M&Aの動き、見通し、状況

化学品業界のM&A: 異なる未来への出発

M&Aは2019年から減少しており、すでに活動量の少ない2020年をさらに下回っている。成約額を比較すると、総減少率は2019年比でほぼ30%に達した。これは、2020年と2021年に化学企業の経営者の間で共有されていた予想と一致する。

しかし、変化したのはディール活動だけでなく、化学品業界のM&Aの状況も構造的に変化している。2020年以降、メガディールは公表されておらず、2020年と2021年の平均的なディールの規模は全体的に小さくなっている。また、化学企業の経営陣は、今後も同様のM＆A環境が継続し、メガディールが起こる可能性はさらに低くなると予想している。

経済状況が低迷し、パンデミックという不確定要素が化学品業界のM&A市場を襲った2018年から2020年には、戦略買収元企業に比べて金融買収元企業がシェアを伸ばした。これは、戦略買収元企業がM&Aに対してより慎重になったことに加えて、金融買収元企業の大規模な資金がアベイラブルになったためである。この傾向は2021年にやや反転し、戦略的買収元企業が再び化学品業界のM&Aの高いシェアを取り戻した。

全体として、私たちは他の不況時と同様の「正常な」行動を観察したと言える。今後、戦略的買収元企業と金融買収元企業の間の競争はより激しくなると予想される。特に、石油・ガス価格の高騰を原動力に国営石油企業がダウンストリームの開発に注力し、M&Aのゲームに参入した場合、この競争はより激しくなるだろう。

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【日本語版監修】

笹俣弘志　（A.T. カーニー、シニアパートナー）
西川覚也　（A.T. カーニー、シニアパートナー）
竹村文伯　（A.T. カーニー、シニアパートナー）